Vol.2  「タブラ奏者オビジット・ベナルジー氏のこと」2013 年2月

 

東京のレッスン後のひと時、今回は4月に来日されるオビジット・ベナルジーさんのことについて、

ロイさんとコルカタ時代にロイさんやオビジットさんと多くの時間を共にしたタブラ奏者の久本 政則さんにお話を伺いました。

 

 

Q.オビジットさんとどのように知り合ったんですか?

 

ロイさん:グルジー(ニキル・ベナルジー)が毎年、外国へツアーに行ってたでしょ。ある年、新しいタブラプレーヤーを連れて行こうと思った。

連れて行くんだったら真面目な人が良いと思って、そのとき抜擢されたのがオビジットだった。

その頃(ロイさんが20代の頃)知り合って、インドでも外国でも、日本でも一緒に演奏するようになった。一緒にCDも何枚もつくった。

友達としても良い友達。数年ぶりに会っても「懐かしいな」とかじゃなく今会ったみたい。

 

久本さん:初めてオビジットのことを知ったのは、ニキル・ベナルジーがアメリカに当時19歳のオビジットを連れて行ったっていうのを聞いて、どんな人なんだろうって思っていた。

ツアーから帰ってきて、しばらくしてアメリカからジャズのグループが来て(当時、アメリカとインドはあまり仲が良くなかったから、アメリカからコルカタにジャズのグループが来ることは殆ど無かったそうです)、その時にそれを聴きに行ったら2部のステージにオビジットが出てきて、そのグループと一緒に演奏したの。

クラシックではなかったんだけどとても上手に演奏して、そのときに新しいタブラプレーヤーが出てきたなって思ったのを覚えてる。それが最初で、それからバッチューの家で会うようになって、仲良くなった。

 

Q.オビジットさんは、もともとコルカタの方なんですか?

 

ロイさん:コルカタじゃないよ。ハウラーだよ。

 

Q.えっハウラーは、コルカタじゃないんですか?

 

ロイさん:コルカタじゃないよ。イナカだよ。東京からみたサイタマとか、チバとか、そういう感じ。

久本さん:フーグリー河を越えちゃったら、荒川を越えちゃった感じ。

 

Q.知り合ったのはどこなんですか?

 

ロイさん:コルカタ。ハウラーじゃなくてコルカタ。

その時代に、ノリさん(久本さん)とかみんなでよく遊んでた。

一緒に練習したり、ご飯食べたり、毎日のように遊んでた。

 

Q.オビジットさんの魅力を教えてください。

 

ロイさん:さっきノリさんとも話してたんだけど、性格がすごいかわいい。例えいくら悪いことしたとしても、全部許してしまう。そういうかわいい部分があるの。

タブラも、音がすごい好き。音楽のセンスがすごいある。音がすごくきれい。すごいなって思う。

 

Q.歌も上手ですよね?

 

ロイさん:うん。歌もめちゃめちゃ上手い。

基本的にヴォーカルをやりたかった。でも咽が嗄れてしまう。

で、その後、ヴァイオリンを始めた。そのうちいろいろあって、タブラだけでがんばってる。基本的に良いミュージシャンだよ。

タイプ的にはシブジーに似てるかなって思う。(サントゥール奏者のシブ・クマール・シャルマ氏)

シブジーはタブラ叩いても、シタール弾いても、サロード弾いても良いアーティストだと思う。

 

Q.オビジットさんの音で先生が良いなってと思う音って?

 

ロイさん:いろいろ有名なタブラプレーヤーがいるけど、ひとつひとつの音、生音が全然違う。

なんかオビジットがシタール弾いているって感じがする。いつも。

タブラがシタールの中にいるって感じ。一緒になってる感じ。

 

あともう一つ、話がすごい上手。

話にアーラープ、ジョール、ビランビット、ドゥルット、ジャーラー、全部ある。

 

久本さん:話にちゃんとオチがある。

 

ロイさん:あと昔、一緒にツアーした時の話。

インドでもツアーして、ヨーロッパでもツアーして、移動中、たとえば電車で4時間、5時間移動しなきゃいけない。そういうときオレ、よく創り話をする。映画みたいなロマンティックな話とかするのね。

そういう話をすると泣くの。何回も泣いたことある。

すっごい繊細で良い部分、ロマンティックなところもすごいある。

 

Q。最後に4月の公演へお気持ち、意気込みを聞かせてください。

 

ロイさん:昔、ずっと一緒に演奏してたから、久し振りに会って演奏するのも嬉しい。

でも自分よりね、今回、生徒さん達が弾くでしょ。基本的に目的はそれが大きいかなって思う。それが嬉しい。

オビジットはトップレベルのタブラプレーヤーでしょ。

そういう人と自分の生徒たちが一緒に演奏できることがありがたいね。

 


 

 

 

編集後記

 

2月レッスン後の取材。

品川にて沢山の生徒と一緒に笑いのたえない時間でした。

音楽を通して知り合った仲間。何年経っても続く交流。

楽器を持っても、楽器を置いても、そこにはずっと良い関係があって単純に良いな、羨ましいな、と思いました。

また同時に、インド音楽を学び始めて、アミット・ロイ教室にお世話になり出して知り合った仲間とも、この先何歳になっても一緒に音楽ができたら、できなくても良い関係を築いていけたら良いな、と思いました。

何年も時を重ねてきたオビジットさんと先生との心の会話や繋がりが4月のコンサートで音を通してみなさんに感じていただけたらと思います。

素晴らしい公演になると思いますので、みなさまぜひ足をお運びください。